個人事業主が仕事で使う車をカーリースにしたいとき、リース料をどこまで経費にできるのか、審査で何を見られるのかが分からず迷うと思います。
リース料は事業に使う割合に応じて経費にでき、家庭の用事と兼ねるなら按分が必要で、審査では収入や経営状況を示す書類を求められる場合があるため、経費の扱いと必要なものを確かめてから申し込むのが近道です。
この記事では、経費にできる範囲と按分のしかた、契約で変わる税金の扱い、審査の見られ方と申込みの区分、契約前に比べる点を整理します。
記事のポイント
- リース料は事業に使った部分が経費になり、家庭の用事と兼ねるなら按分する
- 事業に使う割合が50%以下でも、明らかに区分できればその部分を経費にできる
- 中途解約できずリース料で車の代金をほぼ払う契約は、税金の計算では売買として扱われる
- 審査の書類や申込みの区分は会社ごとに違うため、申し込む前に確かめる
個人事業主のカーリースを経費にする考え方
カーリースだから経費になるという特別な決まりがあるわけではなく、ほかの費用と同じように、事業に必要な部分が必要経費になります。
家庭の用事にも使うなら按分が必要で、契約の内容によっては月々のリース料をそのまま経費にできない場合もあります。
事業に使った部分が必要経費になる
取引先への訪問や現場への移動、商品の配送など、事業のために車を使った部分のリース料は必要経費になります。
休日の買い物や家族の送迎など、生活のために使った部分は必要経費になりません。
国税庁の通達では、事業と生活の両方に使う費用は、事業に必要な部分が50%を超えるかどうかで判定するとしたうえで、50%以下でも必要な部分を明らかに区分できれば、その部分を必要経費にしてよいとしています。
(参考:国税庁 所得税基本通達 第45条関係)
そのため、仕事で使う割合が半分以下だからといって経費をあきらめる必要はありませんが、区分の根拠を示せることが前提になります。
輸入車を事業で使う場合の考え方は、ベンツを法人・個人事業主でリースするときの考え方で紹介しています。
家庭の用事と兼ねるなら按分する
1台の車を仕事と生活の両方に使うなら、使った実態に合う基準で、リース料を事業の分と生活の分に分けます。
国税庁の収支内訳書の書き方でも、家事と兼ねる費用は、使用面積や点灯時間などの適切な基準によって按分して計算すると案内されています。
車の場合は、仕事で走った距離の割合や、仕事で使った日数の割合が、記録から説明しやすい基準です。
例えば月66,000円のリース料で、1年間の走行距離のうち仕事で走った距離が80%なら、次のように計算します。
66,000円×80%=52,800円が事業の分で、残りの13,200円は生活の分として経費から除きます。

按分の割合は、日付・行き先・目的・走行距離を書いた運転の記録から、あとで同じ数字を出せるようにしておいてください。
通勤にあたる移動の扱いなど、判断に迷う使い方は、税理士や税務署に相談して決めると安心して申告できます。
契約によっては売買として扱われる
所得税法では、途中で解約できず、リース料でその車の代金や費用をほぼすべて負担する契約を「リース取引」とし、車を引き渡されたときに売買があったものとして所得を計算します。
この場合、所有権が移らない契約でも、車を取得したものとしてリース期間定額法で償却費を計算するため、毎月払った金額がそのまま経費になるとは限りません。
カーリースやサブスクという名前だけでは、どちらの扱いになるかは決まりません。
契約書と約款を税理士に見せ、中途解約の条件や、リース料の総額が車の価格に対してどのくらいかを確かめてから、経理の方法を決めてください。
消費税の控除と書類の保存
消費税の課税事業者で仕入税額控除を受ける場合、所有権が移らないファイナンス・リースは、原則として車の引渡しを受けた課税期間にまとめて控除します。
経理で賃貸借として処理しているときは、リース料を支払う期間ごとに分けて控除する方法も認められていて、途中の年から残りをまとめて控除するような変更はできません。
インボイスへの対応はリース会社によって違い、オリックスのマイカーリースは、インボイス対応が必要な個人事業主には法人リースを案内しています。
控除を受けるなら、申し込む前に、適格請求書を受け取れる契約かどうかを確かめてください。
帳簿や書類は、青色申告なら原則7年、請求書や見積書など書類によっては5年、白色申告なら収入と経費を書いた帳簿は7年、請求書や領収書などは5年保存します。
個人事業主のカーリースの審査
個人事業主の審査では、会社員のように毎月の給与明細で収入を示しにくいため、事業の収入や経営の状況、今ある借入が見られます。
年収や開業からの年数について、業界に共通する合格の基準は公表されていません。
審査で見られること
コスモMyカーリースは、法人・個人事業主向けのプランでは直近の経営状況が、個人向けのプランでは直近の収入が審査の対象になる可能性があると解説しています。
同じ解説では、資産や収入に対して借入が多い場合や、開業から間もない場合も、審査が慎重になる可能性があるとしています。
クレジットやローンの支払いに延滞などの記録があれば、信用情報からも判断されますが、信用情報機関のCICは審査をしておらず、否決の理由は分からないと案内しています。
節税のために所得を小さく見せていると、申告した所得と希望する月額の釣り合いが取れず、審査で不利になることが考えられます。
審査に通らなかったときの原因の確かめ方は、カーリースの審査に落ちる原因と見直す順番で整理しています。
申込みの区分と書類はリース会社で違う
個人事業主が個人として申し込むのか、事業者として申し込むのかは会社によって違い、連帯保証人や書類の扱いも変わります。
オリコで乗ーるとKINTOの公式サイトでは、次のように案内されています。
| 項目 | オリコで乗ーる | KINTO |
|---|---|---|
| 個人事業主の申込み | 「個人で申し込み」を選ぶ | 個人契約で申し込む(法人契約は法人番号のある法人) |
| 連帯保証人 | 仮審査の結果によって必要な場合がある | 個人契約は不要 |
| 手続き | 仮審査のあとにオンライン商談でプランを決め、本契約の審査を受ける | 電子契約で、本人確認に運転免許証の写真をアップロードする |
2026年9月時点で、各社の公式サイトに示されている内容です。
オリコで乗ーるのリース料は、契約者本人の銀行口座からの自動引き落としだけで、クレジットカードでは払えません。
オリコで乗ーるの法人向けの案内では、仮審査の入力時に決算報告書は不要としつつ、内容によって必要になる場合があるとしています。
個人事業主が確定申告書などを求められるかは公式サイトに書かれていないため、直近の確定申告書の控えをすぐ出せるようにしておくと、求められたときに手続きが止まりません。
申し込む前に準備すること
申し込む前に、次のものをそろえておくと、審査と契約を落ち着いて進められます。
- 直近の確定申告書と収支内訳書または青色申告決算書の控え
- 今あるローンやカードの分割払いの残高と月々の返済額
- 事業に使う割合の見込みと、払える月額の上限
- 運転免許証などの本人確認書類
払える月額の上限は、按分で経費になる金額ではなく、リース料の全額を払い続けられるかで決めてください。
今の車を手放して乗り換えるなら、先に売ったときの金額を知っておくと、事業の資金に回せる額と次の車の予算が見え、無理のない月額で申し込めます。
\ 手放す車の価値から考える /
個人事業主がカーリースを選ぶときの確認点
同じ月額に見えても、含まれる費用や契約の縛りが違うと、事業にかかる負担は変わります。
契約する前に、次の点をそろえて比べます。
月額に含まれる費用を確かめる
日本自動車リース協会連合会は、車両代金や自動車諸税、保険料をリース会社が負担し、保守管理の費用は利用者が負担する方式をファイナンスリースとしています。
車検整備や点検整備、故障修理、代車などのメンテナンス費用もリース会社が負担する方式は、メンテナンスリースです。
メンテナンスを含むかどうかで月額が変わるため、見積もりを比べるときは、車検や点検、タイヤなどの消耗品をどこまで含むかをそろえてください。
任意保険を月額に含めるかどうかも、会社やプランによって違います。
荷物を積む商用車をリースする場合の維持費の違いは、ハイエースをカーリースで導入するときの月額と維持費で紹介しています。
中途解約と走行距離の条件
カーリースは原則として途中で解約できず、解約できる場合でも解約料がかかります。
国民生活センターは、契約前に次の点を確認するよう呼びかけています。
- 契約期間と支払総額、支払時期
- 走行距離の制限などの条件
- 中途解約ができるかと、できる場合の解約料
- 契約満了時の車の返却や残価の精算方法
(参考:国民生活センター)
個人事業主は、廃業や事業の縮小で車が要らなくなっても解約料がかかるため、事業の見通しが立つ期間に合わせて契約年数を選んでください。
配送や営業で長い距離を走るなら、今の月間の走行距離に余裕を持たせた距離で見積もりを取ります。
月額だけでなく総額で比べる方法は、カーリースの総額の計算のしかたで整理しています。
リースの縛りが事業に合わない場合は、中古車を買う方法もあり、買った車は減価償却で経費にしていくことになります。
リースの総額と中古車の価格を並べておくと、途中で手放す可能性まで含めて、どちらが事業に合うかを判断しやすくなります。
\ 買う場合の価格も並べる /
契約前に比べる順番
個人事業主がカーリースを比べるときは、次の順番で条件をそろえます。
- 事業に使う割合と、年間の走行距離を見込む
- 事業の見通しに合わせて契約年数を決める
- メンテナンスと任意保険を含む範囲をそろえて見積もる
- 申込みの区分、連帯保証人、インボイスの対応を確かめる
- 契約書を税理士に見せ、経費と消費税の処理を決める
オリコで乗ーるは、仮審査に通ったあとのオンライン商談で車種やプラン、1年から9年の契約年数を決めてから、本契約の審査に進みます。
事業で使う車と年数の候補を先に絞っておくと、商談で月額を確かめながら、仕事に合う1台を無理なく決められます。
\ 仕事に合う年数で試算 /
個人事業主のカーリースに関するよくある質問
個人事業主のカーリースは、リース料を全額経費にできますか?
車を事業だけに使っていて、そのことを説明できれば全額が必要経費になりえますが、生活にも使うならその分は除きます。
途中で解約できない契約などは税金の計算で売買として扱われるため、契約書で処理の方法を確かめてください。
個人事業主のカーリースで、仕事に使う割合が半分以下でも経費になりますか?
国税庁の通達では、事業に必要な部分が50%以下でも、明らかに区分できればその部分を必要経費にしてよいとしています。
走行距離などの記録で、仕事に使った割合を説明できるようにしておいてください。
個人事業主のカーリースの審査に、確定申告書は必要ですか?
個人事業主に一律で必要な書類は公表されておらず、会社や審査の内容によって違います。
求められたときにすぐ出せるよう、直近の確定申告書の控えを用意しておくと手続きが進めやすくなります。
開業したばかりでも、個人事業主のカーリースに申し込めますか?
開業からの年数について共通の基準は公表されていませんが、開業から間もないと審査が慎重になる可能性があると解説している会社があります。
月額を抑えた車種や年数で見積もり、事業の収入を説明できる資料を用意してから申し込んでください。
個人事業主のカーリースは経費と審査の条件を確かめて選ぶ
個人事業主のカーリースは、事業に使った部分のリース料が必要経費になり、生活と兼ねるなら按分が必要です。
途中で解約できない契約などは税金の計算で売買として扱われ、審査の書類や申込みの区分も会社ごとに違います。
申し込む前に、次の順で確かめてください。
- 事業に使う割合を記録で説明できるようにする
- 契約の内容で経費と消費税の処理がどうなるかを税理士に確かめる
- 申込みの区分と必要な書類、連帯保証人を確かめる
- メンテナンスや保険の範囲、中途解約の条件をそろえて比べる
税金の扱いや各社の条件は変わることがあるため、国税庁と各社の公式サイトで最新の情報を確認してください。
最終的な判断はご自身で確認したうえで行ってください。





